ネットワークの設定と管理 1 TCP/IP、IPアドレス
TCP/IPとは
コンピュータ間をケーブルや無線機能で接続したシステムをネットワークと言う。Linux を OS に利用したコンピュータのほとんどはネットワークに接続して利用する。物理的なネットワークはコンピュータ間をツイストペアケーブルで繋ぐ。
最近では有線のネットワークに加えて、無線機能を使って接続したり、有線と無線の混在したネットワークもある。
※ ツイストペアケーブル
撚り対線(よりついせん)とも言い、電線を2本対で撚り合わせたケーブルである。単なる平行線よりノイズの影響を受けにくい。TPケーブルと言う場合もある。古くからある技術であり電話線などに用いられてきたが、近年ではイーサネットの特にLANでの配線に使われる例がよく知られている。
ローカルエリアネットワークとワイドエリアネットワーク
学校や自宅などの閉じられた複数のコンピュータを相互接続したネットワークをローカルエリアネットワーク ( LAN ) と呼ぶ。離れた場所にある LAN と LAN と結んだネットワークのことをワイドネットワーク ( WAN ) と呼ぶ。
LAN はコンピュータ同士を LAN で結び、 WAN は LAN 同士を通信回線で結ぶ。
IP とは
ネットワークで繋がったコンピュータ動詞の間では、決まった手順 ( プロトコル ) に従ってデータを送受信している。今日一般的に使われているイーサネット規格のネットワークはプロトコルとして TCP/IP を利用している。 TCP/IP の IP ( Internet Protocol : インターネット プロトコル ) は手順の基本である。IP は送り先とデータからなるパケットを送るだけの簡単な仕組みである。 ping コマンドでデータが送信され、データを受けた機器 ( サーバやルータなど ) から確認メッセージが返って来るかを確認できる。
ping ターゲット ターゲット ( ホスト名や IP アドレス ) にデータを送り、返答が戻るまでの、時間を表示する。 -c オプションを付けて、 ping を発行する回数を指定することもできる。
実行例 ローカルなマシンの IP アドレスの確認
$ ping 192.168.1.1 ( 192.168.1.1 へ ping を送信する ) PING 192.168.1.1 (192.168.1.1): 56 data bytes ... ( control + c で終了する )
コンピュータによってはセキュリティ対策のため、 ping コマンドに応答しない場合がある。
TCP と UDP とは
TCP ( Transmission Control Protocol ) は IP ( Internet Protocolo ) の仕組みを使ってデータを送る手順である。IP はインターネットにおいて情報の伝達を行う手順 ( プロトコル ) である。
TCP ではデータのまとまりを1つ受け取ると、すぐにデータの破損などのエラーを確認し、間違っている場合はデータの再送を依頼する。
UDP ( user Datagram Protocol ) はエラー確認やデータの再送制御は行わないが ( 必要であれば上位のアプリケ−ションでそのような処理を実装する必要がある ) 、その分データを高速に送ることができるので、小さなデータや映像のような多少欠損しても問題なく、信頼性よりも速度を求められる通信に適している。
IP アドレス
TCP/IP でデータを送受信するには、発送元と発送先の場所を表すアドレスが必要である。インラーネットでは IPv4 ( Internet Protocolo version 4 ) と IPv6 という2つのプロトコルが使われている。 IPv4 では4バイト ( 16進数で8桁 ) で表せるアドレスで、4バイトのアドレスは1バイト ( 16進数で2桁 ) ごとで10進数に変換してつないで表記する。プライベートな IP アドレスを除いた IP アドレスをグローバルな IP アドレスと言う。グローバルな IP アドレスは NIC ( 日本ではJPNIC ) に管理されており、許可なく利用 ( 設定 ) できない。
IP アドレスのクラス
IPv4 で使われる IP アドレスはネットワークアドレスとホストアドレスを繋げた形となる。ネットワークアドレスはサブネットマスクのビットが立っている部分で、ホストアドレスはサブネットマスクのビットが立っていない部分である。
IP アドレスは学校や会社などの組織に対して割り当てられるので、割り当てられた組織で使われる範囲は連続したアドレスである。ネットワークアドレスの長さによりAからCのクラスがあり、クラスDやクラスEなどの特殊なクラスも予約されている ( 現状では、AからCのクラスが実用される )。
ホストアドレスにおいて、ホスト部の全てのビットが0のアドレスはそのネットワーク自身のアドレスを示し、ホスト部の全てのビットが1のアドレスは、そのネットワーク内の全てのホストに届くブロードキャストアドレスという特殊なアドレスを示す。
プライベート IP アドレス
ローカルなネットワークで自由に利用可能な IP アドレスが用意されており、プライベート IP アドレスと呼ぶ。
サブネットマスク
IP アドレスのうち、ネットワークアドレスとホストアドレスを識別するための数値をサブネットマスクと言う。サブネットマスクは通信先ホストが同一ネットワークにいるかいないかの判断に使われる。ネットワーク ( IP アドレスの集まり ) はサブネットマスクを変える事で、複数のネットワークに分けて、効率的に IP アドレスを利用できる。
CIDR ( サイダー ) 表記
最近よく使用されるようになったクラス分けをしない CIDR ( Classless Inter-Domain Routing ) 表記について述べる。
IP アドレスのネットワーク部とホスト部の境目を / ( スラッシュ ) の後に続くビット数で指定する方法である。ます、表記の例を3つ示す。
IP アドレスを先頭から8ビットをネットワーク部として、残りの24ビットをホスト部とした設定である。クラスAと同じ扱いである。
- IP アドレス: 127.0.0.1
- ネットマスク: 255.0.0.0
- ネットワーク: 127.0.0.0
- ブロードキャスト: 123.255.255.255
アドレスの数: 16,777,216個
192.168.0.1/24
IP アドレスの先頭から24ビットをネットワーク部として、残りの8ビットをホスト部とした設定である。クラスCと同じあるかである。
- IP アドレス: 192.168.0.1
- ネットマスク: 255.255.255.0
- ネットワーク: 192.168.0.0
- ブロードキャスト: 192.168.0.255
アドレスの数: 256個
192.168.0.1/28
Ip アドレスから28ビットをネットワーク部として、残りの4ビットをホスト部とした設定である。クラスCのサブセット扱いとなる。
- IP アドレス: 192.168.0.1
- ネットマスク: 255.255.255.240
- ネットワーク: 192.168.0.0
- ブロードキャスト: 192.168.0.15
- アドレスの数: 16個
経路の確認
LAN と LAN をつなげる場合、もしくは LAN と WAN をつなげる場合はゲートウェイ ( ルーター ) が間に接続されている。ゲートウェイはネットワークのデータを接続された隣のネットワークへ転送する。
インターネットは多くのネットワークが繋がっていて構成されており、いくつものゲートウェイを通ってデータが送受信される。自分が利用しているコンピュータから通信先のコンピュータまでに仲介する複数のゲートウェイを調べるには tranceroute コマンドと tranxepath コマンドがある。
$ traceroute ターゲット $ tracepath ターゲット
ターゲットの途中のゲートウェイへデータを送り、ゲートウェイから返答が戻ってくる時間を表示する。
実行例 traceroute コマンドでゲートウェイを確認
$ traceroute lpi.jp traceroute to lpi.jp (3.112.116.66), 64 hops max, 52 byte packets ...
ゲートウェイによってはセキュリティ対策のため、コマンドに応答しない場合がある。